株式会社メタジェン代表取締役社長CEO 福田を含む共同研究グループ(理化学研究所、慶應義塾大学)は、深層学習(※)を用いて糞便の顕微鏡画像を画像解析することで腸内細菌叢の状態を推定する新たな手法を開発し、その成果が科学雑誌「iScience」オンライン版に11月22日付で掲載されました。
腸内細菌叢(腸内フローラ)は、およそ1,000種類、数にして約40兆個の腸内細菌から構成されています。腸内細菌叢の組成は個々人によって異なり、食生活や疾病などによって変化することが分かっています。腸内細菌叢は宿主であるヒトの健康や生活の質に大きな影響を与えることも先行研究で報告されており、その状態を推定・予測しコントロールする技術の開発が求められていました。
今回開発した手法では糞便画像を入力データとして人工知能に学習させることで、腸内細菌叢の状態を推定するだけでなく腸内細菌叢の組成比を高精度で予測することができます。従来用いられていたアンプリコンシーケンス解析と比較して、簡便かつ安価に腸内細菌叢の状態を解析できるこの技術を医療応用することで、腸内細菌叢が関わる疾病を診断したり、個人の腸内細菌叢の変化を経時的に追跡し、疾病の発症を予測するなど、健康維持や医療の発展につながることが期待されます。
※深層学習:多層のニューラルネットワークを用いた機械学習手法のひとつ。
●詳細は、理化学研究所からのリリースをご覧ください
<論文に関する情報について>
【タイトル】
Decoding gut microbiota by imaging analysis of fecal samples
(糞便の画像解析により腸内細菌叢を読み解く)
【著者名】
Chikara Furusawa, Kumi Tanabe, Chiharu Ishii, Noriko Kagata, Masaru Tomita, Shinji Fukuda
古澤力(理化学研究所 生命機能科学研究センター 多階層生命動態研究チーム チームリーダー)、田邊久美(理化学研究所 生命機能科学研究センター 多階層生命動態研究チーム テクニカルスタッフ)、石井千晴(慶應義塾大学 先端生命科学研究所 研究員)、加賀田紀子(慶應義塾大学 先端生命科学研究所 技術員)、冨田勝(慶應義塾大学 先端生命科学研究所 教授)、福田真嗣(慶應義塾大学 先端生命科学研究所 特任教授)
【掲載紙】
iScience
【掲載日】
2021年11月22日
【URL】
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589004221014528