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取締役CMO 石川らの順天堂大学の研究グループが「兄弟、同世代のドナーが便移植療法の長期治療効果を高める」ことを明らかにし、成果が国際医学誌「Journal of Clinical Medicine」電子版に掲載されました!

株式会社メタジェン取締役CMO 石川が所属する順天堂大学のグループ(順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学)において、2014年7月より開始した臨床研究の結果、潰瘍性大腸炎患者と便提供者(ドナー)との関係が便移植療法の治療効果と関係することを明らかにし、その研究成果が2020年5月31日付けで国際医学誌「Journal of Clinical Medicine」電子版に掲載されました。

本研究において「潰瘍性大腸炎に対する抗生剤併用便移植療法」の長期経過を検証した結果、患者と便ドナーの関係が、①兄弟、姉妹であること、②年齢差が10歳以内(同世代)であることが便移植療法の長期治療効果を高めることがわかりました。

難病指定疾患である潰瘍性大腸炎は、国内において患者数が増加の一途を辿っており、「増悪、寛解を繰り返す、治癒法がない疾患」と言われています。近年では新規薬物療法により治療効果は飛躍的に向上したものの、長期予後については不透明であり、副作用の少ない根本的な治療が望まれています。また、腸内細菌叢の乱れが潰瘍性大腸炎の発症や増悪の要因に大きく関係していることも明らかになってきています。

抗生剤併用便移植療法(A-FMT療法)は、抗生剤投与により細菌量を減らした腸内に健康な腸内細菌叢を移植する治療法です。本研究により明らかになったドナーと患者との相性の重要性に関する新知見は、潰瘍性大腸炎に限らず、腸内環境の異常が関与する疾患(アレルギー疾患、うつ病、自閉症、代謝疾患)に対しても大きく寄与できる可能性があり、石川らのグループでは今後、免疫と腸内細菌叢の相互関係メカニズムの解析を進め、カプセルを用いた簡易的な移植方法や腸内細菌を活性化する方法との併用法など、より簡便で効果の高い治療法の確立を目指しています。

<論文に関する情報について>
原著論文タイトル:Matching between Donors and Ulcerative Colitis Patients Is Important for Long-Term Maintenance after Fecal Microbiota Transplantation
タイトル(日本語訳):ドナーと患者のマッチングが潰瘍性大腸炎の長期治療効果に重要
著者:Koki Okahara, Dai Ishikawa* , Kei Nomura , Shoko Ito, Keiichi Haga, Masahito Takahashi, Tomoyoshi Shibuya, Taro Osada and Akihito Nagahara
著者(日本語表記):岡原昂輝、石川大*、野村慧、伊藤翔子、芳賀慶一、高橋正倫、澁谷智義、長田太郎、 永原章仁   (*責任著者)
著者所属:順天堂大学消化器内科学講座
DOI: 10.3390/jcm9061650  
リンク先: https://www.mdpi.com/2077-0383/9/6/1650

研究内容の詳細につきましては、順天堂大学からのリリースもご覧ください。